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沈壽官家

沈壽官家は、慶長の役後に薩摩へ渡来した陶工の系譜を伝え、苗代川の陶業と深く結びついて展開した家である。

家の概説

初代沈當吉(讚)は全羅北道南原城より連行され、慶長31598)年に渡来したとされる。以後、沈家は御用焼物所主取、苗代川役人、苗代川組頭、苗代川横目などを歴任し、薩摩焼と苗代川の歴史を担う家として続いた。

十二代沈壽官は明治期に藩営陶器製造場工長・苗代川横目を兼ね、ウィーン万博への出品と玉光山陶器製造場の創業によって近代の沈壽官窯につながる基礎を築いた。十四代以降は戸籍上の姓を大迫氏としつつ、現代に至るまで、当主名としての沈壽官は陶業と日韓交流の双方を象徴する名となっている。

家系図

沈當吉(讚) 沈當壽 沈當吉(陶一) 沈陶圓 沈當吉 沈當官 沈當壽 沈當圓 沈當榮 沈當近 沈壽蔵(十信) 沈壽官 沈壽官(正彦) 沈壽官(惠吉) 沈壽官(一輝)
沈壽官家 家系図

代別解説

  1. 初代 沈當吉(讚)

    慶長の役の際、全羅北道南原城より連行され、慶長31598)年に渡来。生涯、幼名であった當吉を名乗る。

  2. 二代 沈當壽

    寛永51628)年、御用焼物所主取となる。

  3. 三代 沈當吉(陶一)

    慶安元(1648)年、陶業精巧につき陶一の名を拝領、御用焼物所主取となる。

  4. 四代 沈陶圓

    寛文81668)年、陶器場工人となる。

  5. 五代 沈當吉

    延宝元(1673)年、苗代川役人となる。

  6. 六代 沈當官

    元禄21689)年、苗代川組頭となる。

  7. 七代 沈當壽

    宝永41707)年、苗代川横目となる。

  8. 八代 沈當圓

    享保181733)年、御用焼物所主取となる。

  9. 九代 沈當榮

    寛延31750)年、苗代川役人となる。

  10. 十代 沈當近

    明和31766)年、白焼黒焼物工人となり、のち陶器売りさばき人となる。

  11. 十一代 沈壽蔵(十信)

    文化51808)年、陶器工人となる。

  12. 十二代 沈壽官

    藩営陶器製造場工長・苗代川横目を兼務する。明治61873)年、ウィーン万博に錦手大花瓶を出品、賞賛を得る。明治81875)年、玉光山陶器製造場(現沈壽官窯)を創業。

  13. 十三代 沈壽官(正彦)

    大正111922)年から40年間、苗代川陶器組合長を務める。昭和391964)年、単光旭日章を受章。

  14. 十四代 沈壽官(惠吉)

    十四代以降、戸籍上の姓は大迫氏である。平成元(1989)年、日本人として初の大韓民国名誉総領事に就任。平成222010)年、旭日小綬章を受章。

  15. 十五代 沈壽官(一輝)

    平成111999)年、十五代沈壽官を襲名。平成222010)年、フランス・パリにて「歴代沈壽官展」開催。令和32021)年、大韓民国名誉総領事に就任、現在に至る。